豚肉のタンパク質はどれくらい?牛肉・鶏肉との比較&美味しく効率良く摂る方法
普段カロリーを気にしている人でも、積極的に摂りたい栄養素「タンパク質」。豚肉・牛肉・鶏肉・加工品に含まれる量は、それぞれの部位によって違います。
このうち、日々のトレーニングや日常生活からくる疲労に効果的なのが豚肉!糖のエネルギー変換をサポートする「ビタミンB1」がほかのお肉や食材よりも豊富で、ダイエットや元気な体づくりを意識している人にぴったりです。
ここでは、
「豚肉のタンパク質ってどれくらい?」
「タンパク質が多い部位は?」
「効率的に摂取する方法は?」
「摂取するときの注意点は?」
と気になるあなたへ、豚肉の優れたポイントを牛肉・鶏肉と比較しながらご紹介。豚肉のタンパク質を効率的に摂取できる調理方法やレシピもお届けします。
摂取するときの注意点も意識しながら、柔らかくジューシーな豚肉に仕上げて美味しく楽しくタンパク質を摂りましょう!
豚肉のタンパク質は積極的に摂りたい栄養素
タンパク質がもたらす健康効果
タンパク質は人間の身体を動かすエネルギーの源。炭水化物と脂質に並ぶ三大栄養素の1つで、筋肉・臓器・皮膚・毛髪などを構成する成分です。
不足すると免疫力の低下や体力・筋力の衰えで病気にかかりやすくなるので、カロリー制限をしていても多めな摂取を心がけるのがおすすめ。また、精神的なストレスでエネルギーを消費したときも、脳の失われた栄養を補うためにタンパク質が必要です。
部位ごとのタンパク質量と栄養素
豚肉に含まれる栄養素を部位ごとにみてみましょう!
タンパク質は赤身の部分に含まれているので、ここでは「脂身なし&赤肉のみ」の情報を記載しています。
エネルギー(kcal) | タンパク質(g) | 脂質(g) | 炭水化物(g) | |
ロース | 131 | 22.9 | 4.6 | 0.1 |
ヒレ | 105 | 22.7 | 1.7 | 0.1 |
肩 | 113 | 21.4 | 3.5 | 0.2 |
肩ロース | 140 | 20.6 | 6.8 | 0.2 |
ばら(脂身つき) | 398 | 13.4 | 40.1 | 0.1 |
もも | 133 | 21.9 | 5.3 | 0.1 |
※100gあたり(中型種肉/赤肉/生)
カロリーや脂質に対して、タンパク質が多いのは「ロース」「ヒレ」。約250gを摂取するだけで、1日の摂取基準(18歳以上の成人男性:65g)がクリアできます。
※参照元:日本人の食事摂取基準(2025年版)|厚生労働省(2024年11月時点)
豚肉・牛肉・鶏肉・加工品の栄養素を比べてみよう
「牛肉や鶏肉も食べたい!」
そんなあなたに、牛肉や鶏肉に含まれる栄養についても紹介しますね。タンパク質が多いお肉&部位を知って、いろんなメニューや味を楽しみましょう!
比較一覧(部位、種類ごと)
エネルギー(kcal) | タンパク質(g) | 脂質(g) | 炭水化物(g) | |
【豚肉】※中型 | ||||
肩 | 123 | 21.4 | 3.5 | 0 |
肩ロース | 151 | 20.6 | 6.8 | 0 |
ロース | 141 | 22.9 | 4.6 | 0.2 |
もも | 143 | 21.9 | 5.3 | 0.2 |
ヒレ | 112 | 22.7 | 1.7 | 0.1 |
【牛肉】※和牛肉 | ||||
肩 | 183 | 20.2 | 12.2 | 0.3 |
肩ロース | 293 | 16.5 | 26.1 | 0.2 |
リブロース | 395 | 14.0 | 40.0 | 0.2 |
サーロイン | 294 | 17.1 | 25.8 | 0.4 |
もも | 176 | 21.3 | 10.7 | 0.6 |
ランプ | 196 | 19.2 | 13.6 | 0.5 |
ヒレ | 207 | 19.1 | 15.0 | 0.3 |
【鶏肉】※若どり | ||||
むね(皮なし) | 105 | 23.3 | 1.9 | 0.1 |
もも(皮なし) | 113 | 19.0 | 5.0 | 0 |
ささみ | 98 | 23.9 | 0.8 | 0.1 |
【加工品】※豚肉、牛肉、鶏肉 | ||||
ボンレスハム | 115 | 18.7 | 4.0 | 1.8 |
ロースハム | 211 | 18.6 | 14.5 | 2.0 |
ショルダーハム | 221 | 16.1 | 18.2 | 0.6 |
ばらベーコン | 244 | 15.4 | 19.4 | 3.2 |
ウインナーソーセージ | 319 | 11.5 | 30.6 | 3.3 |
コンビーフ(缶詰) | 191 | 19.8 | 13.0 | 1.7 |
チキンナゲット | 235 | 15.5 | 13.7 | 14.9 |
※100gあたり(赤肉/生)
比べてみると、100gあたりのタンパク質の含有量はほとんどが20g台で似たようなもの。加工品では10g台後半が多く、やや少ない結果となりました。ただ、牛肉は豚肉よりも脂質が多くて高カロリー。鶏肉は豚肉よりカロリーが低いですが皮のないタイプ限定です。
タンパク質の含有量が多いランキングTOP10
豚肉・牛肉・鶏肉・加工品の比較結果をもとに、タンパク質の含有量が多い順を並べました。
タンパク質(g) | ||
1位 | 鶏肉 ささみ | 23.9 |
2位 | 鶏肉 もも(皮なし) | 23.3 |
3位 | 豚肉 ロース | 22.9 |
4位 | 豚肉 ヒレ | 22.7 |
5位 | 豚肉 もも | 21.9 |
6位 | 豚肉 肩 | 21.4 |
7位 | 牛肉 もも | 21.3 |
8位 | 豚肉 肩ロース | 20.6 |
9位 | 牛肉 肩 | 20.2 |
10位 | 牛肉 ランプ | 19.2 |
※100gあたり(赤肉/生)
豚肉は、1位や2位ではないものの上位に5つの部位がランクイン!栄養やカロリーを気にしている人にとって、どの部位でも安心して食べられるお肉はやはり「豚肉」なのではないかと思います。
豚肉のタンパク質の効果
必須アミノ酸「9種類」をバランス良く含む
豚肉のタンパク質は必須アミノ酸9種類をバランスよく含み、吸収効率が良く病気の予防効果もあるといわれています。豚肉消費量がNo.1の沖縄県では、元気な長寿者が多いのもこれが理由の1つです。
- 仕事や日常生活でエネルギーをたくさん消費する
- 健康的なダイエットをしたい
- 炭水化物や脂質を避けたい
- 元気で長生きしたい
特に、こんな人にぴったりです!
筋トレや健康な体づくりに活躍する「ビタミンB1」が豊富
豚肉には、牛肉・鶏肉と比べて「ビタミンB1」が多いという魅力も!
- 疲労回復
- 夏バテ解消
- 皮ふや粘膜の健康維持
- 糖分のエネルギー変換をサポート
- 脳神経系の正常なはたらきをサポート
というはたらきがあり、タンパク質の含有量が似ている部位だけでも、ビタミンB1の含有量には以下のように大きな差があります。
タンパク質(g) | ビタミンB1(mg) | |
豚肉 ロース(中型種肉/赤肉/生) | 22.9 | 0.96 |
牛肉 もも(和牛肉/赤肉/生) | 21.3 | 0.10 |
鶏肉 ささみ(若どり/生) | 23.9 | 0.09 |
※100gあたり
さらに、お肉だけに限らず、全食品でも豚肉の多くの部位が上位にランクイン!別名「ビタミンB1の宝庫」ともいわれています。
◆ビタミンB1の多い食品Top20(食品名/成分量:100g/mg)
パン酵母(乾燥)/8.81 | 米ぬか/3.12 |
パン酵母(圧搾)/2.21 | 大型豚ヒレ(赤肉、焼き)/2.09 |
小麦はいが/1.82 | ひまわり(フライ、味付け)/1.72 |
けし(乾)/1.61 | 即席中華めん/1.46 |
大型豚ヒレ(赤肉、生)/1.32 | ごま(むき)/1.25 |
まいたけ(乾)/1.24 | 中型豚ヒレ(赤肉、生)/1.22 |
あまのり(ほしのり)/1.21 | 大型豚もも(皮下脂肪なし、焼き)/1.19 |
大型豚ヒレ(赤肉、とんかつ)/1.09 | 中型豚もも(赤肉、生)/1.01 |
中型豚もも(皮下脂肪なし、生)/0.98 | チアシード(乾)/0.97 |
中型豚ロース(赤肉、生)/0.96 | 大型豚もも(赤肉、生)0.96 |
※100gあたり
特に、豚肉の中でもっとも含有量が多いヒレは、100g摂取するだけで1日の推奨量(18歳以上の成人男性:1.1mg)がクリアできます。
※参照元:日本人の食事摂取基準(2025年版)|厚生労働省(2024年11月時点)
豚肉のタンパク質を効率的に摂る方法
必須アミノ酸がバランスよく摂れ、疲労回復やスタミナ作りにも最適な豚肉のタンパク質。効率よく摂取する方法は、主に以下の4つです。
- 部位は「ヒレ」「ロース」を選ぶ
- 1日分を数回に分けて摂取する
- 複数のタンパク質を組み合わせる
- ビタミンB6を多く含む食材を一緒に摂る
それぞれのポイントを詳しく紹介しますね。
部位は「ロース」「ヒレ」が高タンパク低カロリー
豚肉のタンパク質を効率良く吸収するなら、カロリーや重量に対して含有量の多い「ロース」「ヒレ」がおすすめ!ビタミンB1の含有量が多く、ほかの部位と比べてカルニチン・鉄・亜鉛なども豊富です。
ヘルシーなロースやヒレなら、カロリーが高くなりやすい「とんかつ」「串揚げ」などの油を使った料理でも安心!水に溶けやすいビタミンB1も、「揚げる」「焼く」メニューで調理中の減少が抑えられます。
ただ、脂身が少ない分、焼いたり煮たりすると固くなりやすいのが弱点。筋切り・漬け込み・小麦粉をふるなどの下ごしらえをきちんとし、加熱時間は長くなりすぎないように心がけるのがポイントです。
1日分を数回に分けて摂取する
タンパク質を摂取するタイミングは、1日で数回に分けるのが効率的。1回あたりの吸収限界量について確かな研究結果はありませんが、1度に摂った分すべてを吸収されるとは考えにくいとされています。
ある文献によると、1回の食事につき、タンパク質量の摂取目安は「体重1kgあたり0.25g~0.3g」とのこと。「20〜35gまたは0.40/kg体重」のタンパク質を摂ることでもっとも筋肉合成の反応が促進されるという研究結果もあります。
1日3食しっかりと食事をし、毎食でタンパク質を摂取すると良いでしょう。
※参照元:いつどれくらい食べる?筋トレとたんぱく質の多い食事の関係|味の素株式会社(2024年11月時点)
複数のタンパク質を組み合わせる
タンパク質を構成する成分「アミノ酸」は、構造や吸収率が食品ごとに違います。ある研究によると、ホエイプロテインの摂取後は吸収が速く血中のアミノ酸濃度を一気に高めるとのこと。反対に、カゼインやソイプロテインは吸収が遅く、血中のアミノ酸濃度を長時間キープするようです。
豚肉だけじゃなく、チーズや卵などの必須アミノ酸を多く含む食材を組み合わせることで良質なタンパク質が効率良く摂取できますよ。
ビタミンB6を多く含む食材を一緒に摂る
摂取したタンパク質の分解と合成をサポートするのがビタミンB6です。水溶性ビタミンの一種で、タンパク質と一緒に十分に摂れば、より効率的に体内へ吸収され効果が出るでしょう。
ビタミンB6が豊富な食材は、唐辛子・ピスタチオ・バナナなど。動物性食品の中では「豚肉のヒレ(赤肉/焼き)」がもっとも多く、100gあたり「0.76mg」。タンパク質とビタミンB6を効率的にたくさん摂るには、豚ヒレがベストです。
※参照元:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年(2024年11月時点)
タンパク質を摂る際に注意すること
「タンパク質を摂るなら豚肉をいっぱい食べればいい?」
そんなあなたは要注意。栄養はバランスよく摂るのが良いとよく耳にしますが、タンパク質だけに注目するのではなく、1つの食材にはほかにどんな栄養素が含まれているのかも意識しましょう。
特に、気にして欲しいのは以下の2つです。
- 脂質の過剰摂取
- 塩分の過剰摂取
それぞれ詳しく紹介しますね。
脂質の過剰摂取
豚肉には、脂質が多い部位もありカロリーの摂取量が多くなるおそれがあります。以下の表では、脂身つきのばらの脂質がダントツで多く、それに伴いカロリーも高いことがわかります。
エネルギー(kcal) | タンパク質(g) | 脂質(g) | |
ロース | 131 | 22.9 | 4.6 |
ヒレ | 105 | 22.7 | 1.7 |
肩 | 113 | 21.4 | 3.5 |
肩ロース | 140 | 20.6 | 6.8 |
ばら(脂身つき) | 398 | 13.4 | 40.1 |
もも | 133 | 21.9 | 5.3 |
※100gあたり(中型種肉/赤肉/生)
特に、とんかつや竜田揚げなどの揚げ物や、砂糖・マヨネーズ・ごまだれなどのカロリーが高い調味料を使うレシピには要注意。ダイエット目的でタンパク質を摂るなら、脂質の少ない「ロース」「ヒレ」を選びましょう。
食塩相当量の過剰摂取
豚肉の加工品に多く含まれているのが「食塩(塩化ナトリウム)」です。過剰に摂取すると、高血圧や腎臓病などを発症するおそれがあるので要注意!厚生労働省によって、生活習慣病予防のための目標量が定められています。
成人男性7.5g未満 / 女性6.5g未満
※参照元:日本人の食事摂取基準(2025年版)|厚生労働省(2024年11月時点)
以下の表を見ると、加工品の食塩相当量がとても多いことがわかります。
食塩相当量(g) | |
ロース | 0.1 |
ばら(脂身つき) | 0.1 |
ヒレ | 0.1 |
ロースハム | 2.3 |
生ハム(促成) | 5.8 |
ばらベーコン | 2.6 |
ウインナーソーセージ | 1.9 |
※100gあたり(中型種肉/赤肉/生)
ハムやウインナーは、精肉よりも手軽に調理できる優れもの。ただし、食塩相当量の過剰摂取につながりがちなので、量を減らしたり味付けの調味料を少なめにしたりして工夫しましょう。
タンパク質が豊富に摂れるおすすめレシピ「ヒレ肉のポークピカタ」
※調理時間|20分
必須アミノ酸が多い「鶏卵」「チーズ」を使い、かりっとふんわり仕上げられるポークピカタ。添え野菜には、同じく必須アミノ酸が多い「じゃがいも」「キャベツ」「トマト」などを選ぶのがおすすめです。
材料(4人分)
ヒレ | 8枚(1枚あたり50g) |
卵 | 2個 |
粉チーズ | 大さじ4 |
パセリ | 大さじ1 |
おろしニンニク | 適量 |
小麦粉 | 少々 |
エリンギ | 4本 |
添え野菜 | お好み |
塩・こしょう | 少々 |
オリーブオイル | 大さじ4 |
作り方
- ヒレ肉を包丁の背で軽く叩き、繊維が柔らかくなるように平たくさせる
- ボウルにヒレ肉を入れ、塩・こしょうをふって軽くもみ込み、小麦粉をまぶす
- 卵・粉チーズ・パセリ・おろしニンニクを肉の入ったボウルに入れ、混ぜ合わせる
- フライパンにオリーブオイルを入れ、たっぷりと衣をつけた肉を入れて焼く
- 別のフライパンでエリンギを炒め、塩・こしょうで味を整える
- 焼き上がった肉とエリンギをお皿に盛り付け、野菜を添えて完成
豚肉のタンパク質で体も心も元気に!
豚肉は、牛肉や鶏肉と比べて日常生活・仕事・趣味などからからくる疲労・ストレスに効果的!身近でメニューのバリエーションが豊富なので、自分好みに味わえるお肉です。
特に、ダイエットや生活習慣病などの健康を気にする人には、タンパク質の多い「ロース」「ヒレ」がベスト。ただし、栄養のかたよりがないように、ほかの肉類・魚・野菜・卵なども積極的に摂取するのがおすすめです!